脱臼とは、関節を構成する骨の位置が本来の正しい位置からずれてしまう状態のことをいいます。関節包や靭帯、軟部組織に損傷を伴うことが多く、放置すれば後遺症や習慣性脱臼(クセになる)のリスクが高まります。
肩や肘の脱臼は、日常生活やスポーツの中で突然起こることがあり、強い痛みや腕が動かせなくなるなどの症状に見舞われます。初めて経験する方は特に、「どうしたらいいの?」「クセになるって聞いたけど大丈夫?」と不安に感じることも多いでしょう。
まず「脱臼にはどのような症状がみられるのか」について詳しく確認していきましょう。
脱臼は程度によって「完全脱臼」「不全脱臼」に分けられます。
種類 | 再発のしやすさ | 理由・解説 |
---|---|---|
完全脱臼 | クセになりやすい | 関節包や靱帯が大きく損傷するため、安定性が低下し、再発しやすくなります。 |
不全脱臼(亜脱臼) | 場合によっては再発する | 完全脱臼ほど損傷は大きくありませんが、筋力低下や使いすぎで繰り返すことがあります。 |
特に脱臼が起こりやすい関節は以下の通りです。「肩関節」に多く発生するとことが多いです。
大きな可動域を持ちながら関節の固定を筋肉や靭帯に依存しているため、外れやすくなっていると考えられます。
可動域が広く構造上不安定なため、もっとも脱臼しやすい部位。
小児に多く見られ、「肘内障」と呼ばれる状態もこれに含まれます。
あくびや大きな口を開けた際などに発生することがあります。
肩を打撲した際に外れることがあります。
5つのタイプに分類されます。
最も一般的な脱臼。転倒やスポーツ時の衝突、事故などで関節に強い外力が加わった際に発生します。
関節の構造異常(先天性や後天性)により、軽微な力でも脱臼してしまう状態。
脳卒中や神経疾患の後遺症などで筋肉の緊張が失われ、関節を安定させる力が弱くなると発生しやすくなります。
関節炎や関節結核などにより、関節の靭帯が緩み、関節が広がってしまうことで脱臼しやすくなります。
関節リウマチなどで関節構造そのものが破壊され、脱臼が生じやすくなった状態です。
脱臼が起こると、次のような症状が現れます。
関節がズレることで激しい痛みを感じます。
関節の形や位置がいつもと違って見えたり、触るとおかしいと感じます。
痛みや骨のズレのせいで、腕や足を自由に動かせなくなります。
関節周りが腫れたり、青あざのようなあざができることもあります。
神経が圧迫されると、しびれや感覚が鈍くなることがあります。
脱臼が疑われるときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
脱臼によって靭帯や関節包が損傷すると、関節の安定性が低下し、習慣性脱臼(再発)のリスクが高まります。特に若年者やスポーツ選手では再発率が高く、注意が必要です。
無理に動かしたり放置せず、早めに医療機関で処置を受けましょう。
関節を保護するために、一定期間きちんと固定し、無理な動きを避けることが大切です。
再発を防ぐには、まわりの筋肉を強くして関節をしっかり支えることが重要です。専門家の指導のもと、リハビリを行いましょう。